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戻りつつあるサンゴ

【ポイント】 一湊タンク下No.3 / 一湊タンク下No.1
【水温】 27℃ / 27℃
【透明度】 50m
【海況】 凪ぎ
【天候】 雨
【潜水時間帯】 08:56-09:40 / 10:44-11:28
【潮まわり】 05:49 77cm 干潮 / 12:50 179cm 満潮 / 18:25 138cm 干潮 / 小潮(月齢:8.1)
【日の出・日の入】 日出06:16 日没17:53

京都のダイビングショップ「エリート」さんの最終日。

最後はゲストさんたちの「のんびり潜りたい。。。」強いリクエストで、一湊エリアでのんびり潜った。(笑)

1本目は初日に潜ったときの魚影の濃さが印象に残っていたようで、ゼロ戦をリクエストされ潜ったんだけど、今日はなんか寂しい感じ。。。(-_-;)

2本目はホームの一湊タンク下へ。。。

10月に入って、ようやく水温が29-30℃以下にしっかり落ちるようになり、今は27-28℃。。。
この水温の明らかな低下に合わせるように、一湊タンク下のサンゴの白化は元に戻りつつある。
1か月前は真っ白だった箇所も、元の茶色っぽい色が戻ってきた。
少なくともこれ以上の悪化はなさそうで一安心したんだけど、相変わらず真っ白な部分が斑状に残っている。

ここはさすがに死んじゃいそうだな。。。今はまだ生きているんだけど、どこまで元に戻るかかなり微妙な感じ。。。

2013年の大白化の時もこんな感じで一部が元に戻らず、そのまま死んでしまった。
その個所は写真の黒っぽく(こげ茶?)なってしまっている部分がそうだ。

こうして目に見えて、生きている部分の面積が狭くなっていくのが、ちょっと悲しい。。。

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夏が終わり、蓋を開けてみると。。。

【ポイント】 一湊タンク下No.1 / 一湊タンク下No.1
【水温】 29.1℃ / 29.2℃
【透明度】 25m~
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 9:00-9:43 / 10:27-11:11
【潮まわり】 04:56 64cm 干潮 / 11:08 211cm 満潮 / 17:11 99cm 干潮 / 小潮(月齢:21.2)
【日の出・日の入】 日出05:50 日没18:50

午前中に一湊タンク下でビーチエントリー2本。

いやいやいや。。。白化が凄い。。。
今や水底の被覆状サンゴのほとんどが真っ白、もしくは青白くなり、ポイント全体がまるで漂白剤でブリーチされたような状態になってしまった。。。(-_-;)

サンゴ礁学会のMLで今年は2013年以来の大規模白化が予想されるというのはかなり早い時期から聞いており、7月に入ると石垣島など八重山諸島から白化の報告が入り始めた。

しかし、屋久島はまったくそんな様子もなく、8月に入ってからもほとんど白化は見られないような状況だった。

しかし、水温が連日30℃を超え、それが長く続くようになってからは、日に日に白化の範囲が広がっていき、今では2013年の白化とあまり変わらないくらいに白化が進んでしまった。

ちなみにいまだに水温は常に30℃を超えている。。。(◎_◎;)
しかも台風はまったく来ない!(-_-;)

白化と言ってもまだどれも生きているため、水温さえ下がればまた元に戻るとは思うのだけど、これ以上長くこの状況が続くのは非常にヤバいかも。。。

今回の台風10号が上手くかき回してくれ、これを機に水温が下がってくれるといいんだけど。。。


この夏はガイド中にホームグラウンド・一湊タンク下のサンゴ類を常にチェックして、撮影し続け、定期的にサンゴマップに投稿するようにした。

サンゴマップ:白化情報
http://www.sangomap.jp/map/sangomap-w.html

う~ん。。。このサンゴマップって、毎日のように定点観察ができる人間を想定していないような。。。(^^;)

同一ポイントの情報を時系列に並べて見たり、記録できたりすればもっと良いものになるのになぁ~

「白化しているか?していないか?」を一度だけ記録するような仕組みだと、”白化した”場合は積極的に記録してくれても、”白化していない”場合は多分、多くの観察者は記録すらしてくれないと思うんだけど。。。

定期的に同じ場所の変化を簡単に記録でき、写真を投稿できる仕組みがあれば、多分、もっと役に立つ情報が集まるのではないかと思うんだけど。。。(^^;;


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自然の回復力や恒常性

【ポイント】 一湊タンク下No.2
【水温】 19.2℃
【透明度】 25m~
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 14:33-15:45
【潮まわり】 08:07 106cm 干潮 / 14:14 164cm 満潮 / 長潮(月齢:24.0)
【日の出・日の入】 日出07:08 日没17:55

今日も午後から1人で海へ。
目的は子育て中のワレカラを動画で撮る事だったのだが、なかなかうまく撮れない。。。
宿主のガヤが前後に動くため、こうした極小の被写体をTG4のようなコンデジのムービーで撮るのはかなり辛い。。。(^^;;
今後も通えばもう少しまともなものが撮れるかもしれないので、今日は非公開!(笑)

ちょうどいいので、今日は前々からこのブログに記録しておこうと思っていた冬の屋久島の海の水中景観を書き留めておこうと思う。

先日、日本全国に大きな影響を与えた大寒波は屋久島の海岸部にも久々に雪を降らせた。
海は台風並みの北西の強風が吹き、ホームグラウンドの一湊湾内は大荒れだった。(-o-;

大時化の後、01/27の海は凄かった。。。
水底は大きくえぐられ白い石灰質の岩盤がむき出しになっていたり、転石帯の石はみんなひっくり返され、それどころか大きな岩やサンゴまでもが根こそぎひっくり返っていて、水底は真っ白だった。。。(→水底は真っ白!
正直、台風一過後でもここまで攪乱されたことはないのではないか?と思えるほど、水中はものすごく荒らされていた。
その様子を早くワイドレンズで撮って記録しておきた~い!とか思っていたのだが、なかなかそのチャンスがなく(基本、マクロレンズなので。。。(^^;))01/30になって、ようやくガイド中にコンデジを片手にその様子をややワイド画角で撮影できた。

時化明け4日後(01/30)のエントリー口周辺
時化明け4日後(01/30)のエントリー口周辺

昨日(02/03)のエントリー口周辺
昨日(02/03)のエントリー口周辺

茶色い藻のようなものが。。。
茶色い藻のようなものが。。。
近々、ちゃんと一眼でも撮らねば。。。と思っていたのだが、今日(02/04)の水底を見てもはや遅い事に気づいた。(-_-;)
早くも、あんなに白かった水底は藻のようなものが付着して、茶色っぽくなっていた。
もはや「真っ白!」という感じではなくなっていたのだ。

その攪乱っぷりにも驚いたけど、その回復の速さにも驚かされた。
もう1週間もすれば、あんなに違和感のあった白い水底が、何事もなかったかのように元に戻ってしまうんだろうな。。。

時化のあとは毎回思うんだけど、これだけ荒らされても、また転石下のキンチャクガニやフリソデエビたちは元に戻ってくる、というのが不思議でしょうがない。。。
生態系や自然全体が持つ環境を一定に保とうとする力(恒常性)や元の状態に戻ろうとする力(回復力)は驚異的だ。

時化明け4日後(01/30)のハナガタサンゴ周辺
時化明け4日後(01/30)のハナガタサンゴ周辺

昨日(02/03)のハナガタサンゴ周辺
昨日(02/03)のハナガタサンゴ周辺

こんな感じで1本1本倒れていくハナガタサンゴの仲間
こんな感じで1本1本倒れていくハナガタサンゴの仲間
この大時化ではこのポイント・一湊タンク下のシンボルでもあるハナガタサンゴの仲間の一部が大きく崩れていた。
もともとヤバいくらいえぐれていて、今度大きく時化たら一気にいっちゃうんじゃないか?と思っていた箇所だったのだが、やっぱり大規模に崩れていた。

さすがにこいつは回復は難しいかな。。。(^^;)


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目立つパッチ状に白化するサンゴ

【ポイント】 一湊タンク下No.3
【水温】 17.9℃
【透明度】 10m
【海況】 やや揺れ
【天候】 くもり
【潜水時間帯】 14:30-15:52
【潮まわり】 10:31 193cm 満潮 / 16:53 57cm 干潮 / 小潮(月齢:20.7)
【日の出・日の入】 日出07:13 日没17:45

今日も午後から海へ。
昨日よりは風は治まったものの、まだやや水面は揺れている感じ。。。

以前として水温は屋久島の最低水温域である17-18℃の間をさまよっている。
先日までの透明度の良さはなくなり、昨日の時化の影響かちょっと濁っていた。

先日105mmマクロで撮りに行った漁礁のスザクサラサエビを今日は24mmの広角レンズで再トライ。
スザクサラサエビがウジャウジャといて、それがある程度統率された状態で群れている様子を撮りたいのだが、この24mmはギアがないためオートフォーカス・オンリー。
さすがにちょっと厳しかった。
最前列のエビたちになかなかピントが合わない上に、余計なモノ(同じ方向を向いていない子や他の生物)まで写ってしまうため、思いのほか意図した絵にはならなかった。

できるだけ多くのスザクサラサエビを画角内に入れて、YMOの「増殖」ってアルバムがあるんだけど、そのジャケ写みたいな絵を狙っていた。
でも撮っていて思ったんだけど、これってまったく同じ方向を向いた一部(6-8匹くらい)だけに絞って撮った方が意図した絵に近くなるかもしれない。

明日は60mmでトライしてみようか。。。(^^;;

パッチ状に白化するハナガタサンゴの仲間
パッチ状に白化するハナガタサンゴの仲間
昨シーズンは稀に見る高水温が長く続いた年で、白化したサンゴも例年よりも多かった。
しかし、水温が下がってからは、こうしたサンゴも復活して元に戻ってきたのだが、一部は白化したまま残っている。
このままだと死んでしまうのだろうけど、こうした元気なサンゴの中にパッチ状に残る白い部分が、今でもかなり残っている。
まだ生きている部分もあるのだが、それは遠くから見てもとて目立ち、痛々しい感じだ。

しかも、この白いパッチ状に残った白化した部分は、ここ1週間くらい続いている低水温を経て余計に目立ってきたような気もするのだが、気のせいだろうか?
昨年の高水温の反動か、今年の冬は水温が下がるのがかなり早く、低水温の状態がやや長く続いているような気がする。(水温データは未検証だけど。。。)

サンゴ類は高水温に弱いというよりも、環境の急激な変化に弱いのだと思っているのだが、ここ数日で白化個所が増えているのではないかなぁ。。。などと漠然と思っている。


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崩れ落ちたテーブル状ミドリイシサンゴの現場検証

【ポイント】 一湊タンク下No.1
【水温】 19.4℃
【透明度】 ~5m
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 15:07-16:51
【潮まわり】 07:38 212cm 満潮 / 14:12 4cm 干潮 / 中潮(月齢:1.7)
【日の出・日の入】 日出05:53 日没18:43

今日も海はありえないほどのニゴニゴの海で透明度は昨日よりも悪く、ちょっと沖に出ても変わらずの5m以下。
海は凪ぎなんだけど、完全に変な潮が入り込んでる。。。
浮遊物も植物プランクトンが中心で面白さに欠ける。。。(^^;;

DSCF0981今日は昨日も少し話したが、先日の時化で崩れ落ちたテーブル状のミドリイシの現場検証に行った。
爆弾低気圧の通過時の大時化の後、翌日に入った時には中層でプランクトン類を追っていたので全然気づかなかったのだが、この時に落ちたのだろうか。。。?
その後、次の日はまた時化たので、この時だろうか。。。?
いずれにしても爆弾低気圧の通過時の大時化が決めてだったのだろう。
それほど今回の海は大きく時化た。
台風通過時並みの大時化だったし。。。

DSCF1053見た感じでは落ちるべくして落ちたという感じがする。
今まで気づかなかったのだが、この大きなサンゴ(直径2mくらい)はわずか10-20cm四方くらいの面積2か所だけで岩に着いており、そこだけでこの重量物を支えていたのだ。
元々、もう支えきれない状態になっていたのだろうと思う。
きっとこのサンゴ群体が元気に成長し過ぎて、根元が耐えられなくなったのだろう。。。

DSCF0998

DSCF0997

それだけ、このミドリイシは元気で、病気知らずだった。
今も落ちた状態で活き活きとしており、元気にポリプを出していた。

しかし、落下の衝撃で裏側に損傷を負った部分もあり、その部分の表側のポリプを見てみると、何やら糸のようなものを出していた。

_DSC6750

_DSC6749

まだサンゴの大半(95%)くらいは超元気なのだが、落下時に最初に着地した部分が折れて、あとは水底の砂に突き刺さった部分は早くも白化がかなり進んでいた。

DSCF1044_DSC6745

今日、見て初めて気づいたのだが、テーブルの日陰になっていた部分には死んだハナガタサンゴの仲間があった。
現在、タンク下ではこのハナガタサンゴの仲間が優占しているんだけど、この場所にもかつては、こいつらがいたようだ。
しかし、その後、成長してきたこのテーブル状ミドリイシに覆い被さられ、光を遮られて結局はこの場所を譲ることになったんだろう。。。

DSCF1036それだけ、このテーブル状ミドリイシはこの場所では強かった。
きっといくつもの他生物との競争に打ち勝って、この場所に群体を形成してきたのだろう。。。
この場所は潮通しも水質も良く採光も充分で彼らにとって最高の場所だったに違いない。
実際、もの凄く元気に育ち、立派に成長していた事からもそれはよく分かる。

そしてついには、元気に成長し過ぎて、根元が耐えられなくなった。
言い方を変えると、元々のこの場所の強度(波浪等の撹乱に耐える大きさ・重さ)を、この群体の重量が超えたのだ。
これは、「生態的寿命」というらしい。
それは実質、このサンゴの寿命だとも言える。

つまり、仕方がなかった。。。
落ちるべくして落ちたのだ。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」

祇園精舎の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。

まさにそんな感じ。。。

これからはこのテーブル状ミドリイシがなくなったことで、よく陽の当たる空いた空間には新たな生物が進出して、新しい生命が誕生する事だろう。。。

すごく残念で、悲しい事だけど、テーブル状ミドリイシの消失は「無」ではない。
新たな世界が更新されるのだ。

これは「遷移」の現場を観察するチャンスなのかもしれない。。。

DSCF1016ちなみに落ちたテーブル状ミドリイシもあの場所(水底)でしばらくは生き続け、少なくとも今年は新しい卵を放出し、子孫を残すと思う。
はたまた、大半は砂に埋もれるかもしれないけど、場合によっては高く突き出した一部は、新たに成長を始めるかもしれない。
これもまた「遷移」であり、新たな場所へのこのテーブル状ミドリイシの進出とも言えるのだ。

そしてそこにはまた新しい世界(環境)がつくられる。
実際、落ちて新たにこのサンゴの陰になった部分には早くも暗がりを好むオイランヨウジのペアが棲み始めていた。(^^)


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久しぶりのハナガタサンゴ類の大規模白化

【ポイント】 お宮前/一湊タンク下No.2
【水温】 27.1℃/28.3℃
【透明度】 20m~
【海況】 やや風波
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 11:01-11:51/13:48-14:40
【潮まわり】 07:16 248cm 満潮 / 13:54 18cm 干潮 / 20:11 243cm 満潮 / 大潮(月齢:15.0)
【日の出・日の入】 日出05:37 日没19:10

今日も東~南の風が強く、東面の元浦なんかは大時化!
一湊湾内も凪ぎてはいるけど、水面は風波がかなりバシャバシャしていた。

今日もまだ漁船の「台風つなぎ」は解除されず、いつも永田で使っている葵丸にボートをお願いした。
昨日から来島中のIさん親子と今日も2本。

ここ10日間くらいの29-30℃の高水温で一湊タンク下のハナガタサンゴ類が白化気味だ。
このサンゴは真夏の高水温期には色が薄く褪せ、白っぽくなるのは毎年のことなのだけど、今年は久しぶりに酷く、その規模も広範囲に及んでいる。。。

例年なら色が薄く褪せ、白っぽくなっても、完全に死んでしまうわけではないので、秋になって水温が低下すればまた元の生き生きとした色合いに戻る。

しかし、この状況、この白化規模は数年前に同じように夏場の高水温期の白化が酷くて、元に戻らないまま死滅してしまった群体が多かった年と似てる。。。(¨;)

前回のハナガタサンゴ類の大規模白化の際は、その前後ではポイントの様子が一変した。
華やかさが失われ、荒廃が進んだ。

こうした変化は大きな時間の流れの中のごくごく自然な環境の変化だと冷静に受け止めたいのだけど、僕の中にある”綺麗なものを好む”自分勝手な人間感情がそれを許さない。。。



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モニタリング1000サンゴ調査 一湊タンク下

【ポイント】 一湊タンク下No.1
【水温】 22.5℃
【透明度】 15m
【海況】 やや時化気味
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 14:07-15:59
【潮まわり】 07:52 94cm 干潮 / 14:23 181cm 満潮 / 長潮(月齢:8.9)
【日の出・日の入】 日出06:59 日没17:16

今日はようやく晴れた!!
ここ1週間、天気は連日の雨で、海も時化気味の状態が続き、真冬の屋久島を思わせるような状況だった。
環境省のモニタリング1000(サンゴ)におけるホームグラウンド・一湊タンク下の調査をずっとやりたかったのだが、ワイド撮影が必要なこともあってなかなか実施できずにいた。
まだ多少は透明度が悪そうな感じがしたけど、今日は思い切って実施する事にした。

毎日、ウネウネの海でマクロ三昧な日々が続いていたので、ワイド自体が久しぶり!!(^^)
やはり多少は濁りがあって、ちょっとした浮遊物も浮いていたけど、調査目的の撮影ならまったく問題なし!!

被度調査などはほとんどスタッフに任せ、僕は毎年定点撮影している調査範囲内の数箇所を順番に回りながら撮影する。。。
以下は左側が昨年(2010年)、右側が今年(2011年)のサンゴの様子。
ほぼ同じ位置から撮っているのだが、何かちょっと狂ったみたい。。。
まっ、いっか。。。(^_^;)

2010年 ハナガタサンゴの仲間が群集する-6m付近
2010年 ハナガタサンゴの仲間が群集する-6m付近
2011年 ハナガタサンゴの仲間が群集する-6m付近
2011年 ハナガタサンゴの仲間が群集する-6m付近

このブログでも何回も言っていたけど、一湊タンク下の浅場中心付近に位置するウスサザナミサンゴとハナガタサンゴ類が群落するエリアは年々、荒廃しつつある。
原因はポイント全体の泥化だと僕は思っているのだが、ハナガタサンゴ類に関しては明らかに華やかさは落ちていて、死んだ箇所も毎年少しづつ増えていっている。
今年はさらに昨年死んだ箇所に大きな海藻が生えているのを良く見かける。
これは写真からもよく分かる。

2010年 ハナガタサンゴの仲間1
2010年 ハナガタサンゴの仲間1
2011年 ハナガタサンゴの仲間1
2011年 ハナガタサンゴの仲間1

2010年 ハナガタサンゴの仲間2
2010年 ハナガタサンゴの仲間2
2011年 ハナガタサンゴの仲間2
2011年 ハナガタサンゴの仲間2

2010年 ハナガタサンゴの仲間3
2010年 ハナガタサンゴの仲間3
2011年 ハナガタサンゴの仲間3
2011年 ハナガタサンゴの仲間3

上記の写真3枚からはあまり変化を感じないかもしれないけど、これは撮影ポイントが悪いせい。
もう少し上層から全体を俯瞰するような撮り方で撮らないと、推移が分かり難いな。。。と思った。
来年からはもう数カ所、上層から全体を俯瞰できる撮影ポイントを増やそうと思う。

年々、荒廃していくのが目に見えて分かるハナガタサンゴ類に対し、ウスサザナミサンゴは割と泥に強いと思っていたのだが、今年は大きく荒れた。
シーズン前の冬の時化で大きく壊された群落は、シーズン中はずっとそのまま推移。
このウスサザナミサンゴ群落は3年前にボートのアンカーを引きづって大破させてから、一度復活しつつあって安心していたのだが、やっぱりあの影響で弱くなってるのかな。。。(・_・;
もう少し観察を続けたい。

2010年 ウスサザナミサンゴ群落
2010年 ウスサザナミサンゴ群落
2011年 ウスサザナミサンゴ群落
2011年 ウスサザナミサンゴ群落

2010年 ミドリイシの仲間
2010年 ミドリイシの仲間
2011年 ミドリイシの仲間
2011年 ミドリイシの仲間

ミドリイシ類は割と元気だ。
白化サンゴもいくつか目にしたが、これは真夏の高水温のせいではなく、ここ最近、水温の低下時に白化したもの。
1年に1回、モニタリング1000の時にしかそのポイントに入らない方が調査員を務めるエリア(全国には結構あるみたい)だと、この辺の判断を誤る気がする。。。(^_^;)
僕らのようにほぼ毎日のように入り観察しているモニタリング・エリアと1年に1回調査のためにしか入らないモニタリング・エリアとでは当然、精度も大きく変わってくる。
環境省は、まさかこれを比較材料にするつもりだろうか。。。怖い。。。(・_・;

僕はほぼ毎日のように入り観察しているモニタリング・エリアと1年に1回調査のためにしか入らないモニタリング・エリアとでは、例え後者を科学的な物の見方ができる方(例えば学者さんとか。。。)が担当していたとしても、やはり前者の精度にはとうてい足元にも及ばないと思う。

全国すべての調査ポイントに誰かしら毎日入るようにするのは実質無理な話なので、こうした精度の違いは仕方がない。
でも「仕方がない」で済ませてしまうのではなくて、やり方はいくらでもあるような気がする。

全国には毎日のようにそのポイントに潜り、状況を時間軸で正確に把握している現地ダイビング・ガイドは沢山いる。
こうしたガイドを組織化して調査を行うことだって、可能な気がする。

よくモニタリング1000は続けることに意味がある、と言われているけど、地元に密着した現地ガイドのような人間なら、年に1回調査のために足を運ぶのとは訳が違って継続性はさらに高まる気がする。
しかもデータは正確。
年に1回調査のために足を運ぶ方には労力的に大変だと思われるもっともっと高度な調査内容でも低い労力でこなせると思う。
なぜなら毎日入っている訳だから、調査日前にはある程度、簡単な調査項目は終わってしまっているようなものだからだ。

毎年思うのだけど、モニタリング1000って年に1回調査のためだけに足を運ぶ方向きの調査方法だな。。。ってつくづく思う。


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ワレカラモドキの保育囊

【ポイント】 一湊タンク下No.2
【水温】 18.6℃
【透明度】 25m
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴天
【潮まわり】 09:32 200cm 満潮 / 15:35 72cm 干潮 / 中潮(月齢3.7)
【日の出・日の入】 日出07:15 日没17:33

今日は雲ひとつ無い快晴!
ちょっと寒いけど、海も凪ぎてダイビング日和な1日だった。
ゲストがいるときに、こうあって欲しいのだけど。。。(-o-;

クシノハカクレエビ
クシノハカクレエビ
海水温はどん底状態に突入!
屋久島は年間で最も低い水温が18℃前後。
まさに1年の中で一番水温の低い時期に入った。。。寒い。。。ブルブル

透明度だけはガンガンに良い状態の中、小物にはまる。。。(笑)

先日届いたOCEAN GEOGRAPHIC誌の今月号を見ていたら、World Underwater Pictures Festivalの結果が載っていた。
銀賞に入選した抱卵中のワレカラの写真を見て、突然思い出した!
今だったらワレカラの放幼、もしくは子育てが見れる(撮れる)かも!!

ワレカラの仲間は屋久島では意外に少なくて、この水温の低い時期にガヤ類に小さな個体がたまに数匹着くのを見るくらい。
(まぁ~あまりマクロ目なダイビングを普段していないから目につかないという可能性もあるけど。。。(笑))
それが昨年はこの時期にウジャウジャ着いているシロガヤを見つけたので、そこに直行!

ワレカラモドキ?の若い個体たち
ワレカラモドキ?の若い個体たち
しかし、昨年はあれほど着いていたのに、今年は全然着いてね~!!と思って、よ~く見たら。。。
うぉ~沢山着いてるじゃん!チビが。。。(^^;)
やや若い個体が写真のようにガヤの脈に沿うように着いているのを見て思わず笑ってしまった。。。これも擬態?(笑)

種類はワレカラモドキだと思うのだが、よく分からない。。。
どういうわけか海岸動物図鑑の中では最も充実していると思われる「原色検索日本海岸動物図鑑〈2〉(1995/12発行)」にはワレカラモドキが載っていないのだ。

なのに、ダイバーの間ではワレカラモドキは非常に有名。。。
多分、これはダイバー御用達の「海辺の生きもの (山渓フィールドブックス)」に載っているからなのだろうと思う。

卵を抱えるワレカラモドキのメス
卵を抱えるワレカラモドキのメス
まぁ、種類はともかく、目的はワレカラ類の放幼、もしくは子育て。。。
引き続き、しつこく探してみると何とか数匹成体を見つけ、1匹は保育囊に卵を抱えていた。
ワレカラモドキのメスは放幼後、胸元の辺りに幼体を沢山くっつけて(幼体がまとわり着いて)子育てするようで、その写真が海辺の生きもの (山渓フィールドブックス)に載っている。
これかもしくは幼体たちがメスの保育囊から出てくるところ(これも海辺の生きもの (山渓フィールドブックス)に載っている)を何とかして撮りたいなぁ~と思っているのだけど、とりあえず今日は見つからなかった。。。

もしかして年末年始の大時化でみんな飛ばされた???(ーー;)
少なすぎる。。。

むき出しになったハナガタサンゴの骨格
むき出しになったハナガタサンゴの骨格
時化関連で、もうひとつ面白いことが分かった。
この年末年始の大時化で各所の砂地が掘られ、浅場ではそこら中で下地がむき出しになっている。

面白いのがその多くは地面が何とハナガタサンゴ!
むき出しになっているものの多くは岩盤ではなく、死んだハナガタサンゴ類の骨格なのだ。
時化前はミナミコブヌメリやウミテングなどが棲んでいた砂地の砂が飛ばされ、写真のように死んだハナガタサンゴ類の骨格がむき出しになってる。
これが各所で見られるのだが、つまり、この辺一帯は昔、一面がハナガタサンゴの大きな群落だった事が想像される。。。

この一湊タンク下というポイントには東洋一の規模を誇る(?)ハナガタサンゴ類の群落があるのだが、昔はそんなものではなくてもっともっと想像以上に大きな群体だったのではないだろうか。。。?
今ある群落は年々弱っていて、死滅しつつあるのだが、やっぱりこれは(このポイントでは)死滅する運命にあるサンゴなのかもしれない。
ハナガタサンゴ類死んで、その場所が砂泥化していくという流れが、このポイントの既定事項なのかもしれない。。。


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衰退していくサンゴと勢力を拡大するサンゴ

【ポイント】 一湊タンク下No.2
【水温】 22.7℃
【透明度】 20m
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴天
【潮まわり】 06:28 61cm 干潮 / 13:10 189cm 満潮 / 小潮(月齢:22.9)
【日の出・日の入】 日出06:55 日没17:17

週が明けてゲストが帰ると凪ぎて良く晴れるのは毎度の事。。。(^^;)
今日は朝から天気も良くて、海はベタ凪ぎ!
当然、ゲストもいない月曜日。。。(笑)

今日は午後から海へ。
相変わらず、冬の平日は海にダイバーはいないのだが、天気が良くなると雰囲気は明るい!
結局、普段はダイバーがいなくて寂しいのではなくて、冬の屋久島・北部は天気が悪い日が多いので暗~い気持ちになっちゃうのかもしれない。
雰囲気で人の気持ちなんてコロコロ変わるのだ。。。(笑)

今日もワイドレンズを着けてヤクシマキツネウオの群れ狙い。。。
”ワイド狙い”というよりは、1枚の写真の中に1匹でも多くのヤクシマキツネウオが写り込んでいる写真が欲しいのだ。
しかし、今日もなかなか厳しかった。。。
中層には毎日千匹近いのヤクシマキツネウオが群れているのだが、まとまりがないので広角だとイマイチ良い写真が撮れな~い!
というか、そもそも被写体としては全然、画にはならない群れなのだ。(笑)

今日も失意のままエア残が少なくなって浅場へ戻った。

衰えつつあるハナガタサンゴ類の群落
衰えつつあるハナガタサンゴ類
例年、水温が下がり始めると、このポイントにあるハナガタサンゴ類の色は活き活きとしてくるのだが、年々それほどでもなくなってきている気がする。
5年ぐらい前までは高水温期のみ元気のない地味な色になって、冬季は綺麗な色に戻るという事を繰り返していたのだが、何かここ2-3年は夏と冬とではそれほど色合いが変わらないのだ。
死滅した群体もかなりあるのだが、生きているサンゴでさえも、なんか色は褪せ、地味で元気がない。。。
元々、死滅した個所はどんどん増えているので、全体としては汚らしく、荒廃した印象なのだが、生きているサンゴさえもそうなのだから、ポイント全体に華やかさが足りない感じになる。。。

これは前からこのログでも言っているように、ポイント全体の泥化が原因だ。
さらに年を重ねるごとに益々、泥化が進行しているのが目に見えて分かるようになってきた。
この泥に負けてどんどん衰えていくハナガタサンゴ類に対して、逆にどんどん勢力を延ばしつつ活き活きしつつあるのがウスサザナミサンゴ類だ。
どうも泥に強いサンゴのようで、一度、2年前に人為的に大規模な破壊が行われたにも関わらず、その勢力は拡大傾向なのだ。

元気なウスサザナミサンゴ群落
元気なウスサザナミサンゴ群落
死んだハナガタサンゴの仲間があった場所にも進出してきており、数十年後にはハナガタサンゴ類は一掃され、一面がウスサザナミサンゴ群落になってしまうのでは?と思えるほど。。。
これを見ていて思うのだけど、サンゴ群集にも森でいう「植生遷移」みたいなものって当然あるんだよね。。。?

だとしたら、泥化の原因だと思われる30-40年前に人間生活の必要に迫られて作られた(延ばされた)一湊港の堤防(見た感じは必要最低限のもの)が作られた時点で、ハナガタサンゴ群落からウスサザナミサンゴ群落への移行は当然起こりうる遷移みたいなもので、「なるべくして、なった」とでも言うべきものなのかもしれない。。
サンゴの色褪せや見た目の荒廃は”人間の美観にとっては”許せない事なのかもしれないけど。。。(笑)

綺麗なハナガタサンゴ類の衰退は悲しいことだけど、それによってサンゴの組成が変わり、当然、周辺で生きる魚などの生物層も変わっていくわけだが、その推移を観察していくのは正直言っちゃうと、ちょっと楽しみかも。。。(・_・;
これって問題発言だろうか。。。(笑)


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