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崩れ落ちたテーブル状ミドリイシサンゴの現場検証

【ポイント】 一湊タンク下No.1
【水温】 19.4℃
【透明度】 ~5m
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 15:07-16:51
【潮まわり】 07:38 212cm 満潮 / 14:12 4cm 干潮 / 中潮(月齢:1.7)
【日の出・日の入】 日出05:53 日没18:43

今日も海はありえないほどのニゴニゴの海で透明度は昨日よりも悪く、ちょっと沖に出ても変わらずの5m以下。
海は凪ぎなんだけど、完全に変な潮が入り込んでる。。。
浮遊物も植物プランクトンが中心で面白さに欠ける。。。(^^;;

DSCF0981今日は昨日も少し話したが、先日の時化で崩れ落ちたテーブル状のミドリイシの現場検証に行った。
爆弾低気圧の通過時の大時化の後、翌日に入った時には中層でプランクトン類を追っていたので全然気づかなかったのだが、この時に落ちたのだろうか。。。?
その後、次の日はまた時化たので、この時だろうか。。。?
いずれにしても爆弾低気圧の通過時の大時化が決めてだったのだろう。
それほど今回の海は大きく時化た。
台風通過時並みの大時化だったし。。。

DSCF1053見た感じでは落ちるべくして落ちたという感じがする。
今まで気づかなかったのだが、この大きなサンゴ(直径2mくらい)はわずか10-20cm四方くらいの面積2か所だけで岩に着いており、そこだけでこの重量物を支えていたのだ。
元々、もう支えきれない状態になっていたのだろうと思う。
きっとこのサンゴ群体が元気に成長し過ぎて、根元が耐えられなくなったのだろう。。。

DSCF0998

DSCF0997

それだけ、このミドリイシは元気で、病気知らずだった。
今も落ちた状態で活き活きとしており、元気にポリプを出していた。

しかし、落下の衝撃で裏側に損傷を負った部分もあり、その部分の表側のポリプを見てみると、何やら糸のようなものを出していた。

_DSC6750

_DSC6749

まだサンゴの大半(95%)くらいは超元気なのだが、落下時に最初に着地した部分が折れて、あとは水底の砂に突き刺さった部分は早くも白化がかなり進んでいた。

DSCF1044_DSC6745

今日、見て初めて気づいたのだが、テーブルの日陰になっていた部分には死んだハナガタサンゴの仲間があった。
現在、タンク下ではこのハナガタサンゴの仲間が優占しているんだけど、この場所にもかつては、こいつらがいたようだ。
しかし、その後、成長してきたこのテーブル状ミドリイシに覆い被さられ、光を遮られて結局はこの場所を譲ることになったんだろう。。。

DSCF1036それだけ、このテーブル状ミドリイシはこの場所では強かった。
きっといくつもの他生物との競争に打ち勝って、この場所に群体を形成してきたのだろう。。。
この場所は潮通しも水質も良く採光も充分で彼らにとって最高の場所だったに違いない。
実際、もの凄く元気に育ち、立派に成長していた事からもそれはよく分かる。

そしてついには、元気に成長し過ぎて、根元が耐えられなくなった。
言い方を変えると、元々のこの場所の強度(波浪等の撹乱に耐える大きさ・重さ)を、この群体の重量が超えたのだ。
これは、「生態的寿命」というらしい。
それは実質、このサンゴの寿命だとも言える。

つまり、仕方がなかった。。。
落ちるべくして落ちたのだ。

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」

祇園精舎の鐘の音には、諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。

まさにそんな感じ。。。

これからはこのテーブル状ミドリイシがなくなったことで、よく陽の当たる空いた空間には新たな生物が進出して、新しい生命が誕生する事だろう。。。

すごく残念で、悲しい事だけど、テーブル状ミドリイシの消失は「無」ではない。
新たな世界が更新されるのだ。

これは「遷移」の現場を観察するチャンスなのかもしれない。。。

DSCF1016ちなみに落ちたテーブル状ミドリイシもあの場所(水底)でしばらくは生き続け、少なくとも今年は新しい卵を放出し、子孫を残すと思う。
はたまた、大半は砂に埋もれるかもしれないけど、場合によっては高く突き出した一部は、新たに成長を始めるかもしれない。
これもまた「遷移」であり、新たな場所へのこのテーブル状ミドリイシの進出とも言えるのだ。

そしてそこにはまた新しい世界(環境)がつくられる。
実際、落ちて新たにこのサンゴの陰になった部分には早くも暗がりを好むオイランヨウジのペアが棲み始めていた。(^^)


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アオスジテンジクダイの2型

【ポイント】 一湊タンク下No.2
【水温】 18.5℃
【透明度】 5m
【海況】 凪ぎ
【天候】 くもり
【潜水時間帯】 14:27-16:03
【潮まわり】 07:11 213cm 満潮 / 13:40 4cm 干潮 / 19:54 212cm 満潮 / 大潮(月齢:0.7)
【日の出・日の入】 日出05:55 日没18:42

今日は午後から海へ行った。
先日はエントリーするなり、水中がニチリンクラゲに占拠されていて驚いたのだが、今日はさらに驚かされた。。。
何やら最悪の潮が入り込んでいるようで、海は1年に1-2回あるか?ないか?の最悪の状態。。。(・・;)

透明度5m、何やら水中は植物性のプランクトンが凄くてドロドロ状態。
伊豆なんかでは今の時期、海の中が緑色になると聞いているのだが、もう少しでそんな感じになりそうなくらい。。。(-_-;)
いつもなら透明度が悪くても一応海は薄く青いのだが、今日はもう青さはまったくなかった。

これは沖に出ても同じで、今日はゼロ戦に行きたかったのだが、何か迷いそうで止めた。(笑)

昨日まで鹿児島大学の本村教授とその学生さんたちが来店していた。
本村さんからは毎回、いろいろと魚の情報を聞くのだが、今回もかなり面白い話を仕入れた。

アオスジテンジクダイには2型がいるらしいのだ。

というか、もう2年くらい前から本村研究室の学生さんが研究していて、屋久島でも標本が取れているという。。。
えっ???マジ!?
なぜにスグに教えてくれなかったの~!!!(・・;)

という事で、今日は昨日の夜からこれをホームグラウンドで確認したくてワクワクしていたのだ!(笑)

僕は昔から珍しい魚や新しい種類(未記録種&未記載種)にはそれほど強い興味が湧かないのだが、ごくごく普通に見られる魚で”実は”2型がいる!とか2種以上が混同されている!という話が大好きで、そういう話を聞くと、いてもたってもいられなくなるのだ。(笑)
前者は特にその海に潜り込んでいなくても、そういう目さえ持っていれば意外に見つかるものなのだが、後者は普通種と言えども軽視せず、普段からかなりじっくり海を生物を観察していないと気づけない事なので、それに気づけなかった事が実は悔しくて、悔しくてたまらないのだ。(^^;;

今回のアオスジテンジクダイもまったくのノーマークだったので、かなり悔しい。。。(笑)

聞くところによると、国内でアオスジテンジクダイ(学名:Apogon aureus)と言っているものの中には、かなりの頻度でApogon fleurieuという種類が混じっているようなのだ。
過去には屋久島魚類調査でも採取されていて、他には薩摩硫黄島、鹿児島などで標本が採られているらしい。

その違いを聞いてみると、水中観察で分かるのは尾柄部の黒い帯がハッキリしているか?ボヤけているか?という事だけらしい。。。(^^;;
当然、他に様々な形質上の違いがあるらしいのだが、水中で分かるのはそこだけだそうだ。
う~ん。。。どうしても魚の場合、その色や模様は濃くなったり、薄くなったりするのはよくある事なので、その識別点はかなりキビシイ気がする。。。(^^;

今は口内保育中の個体が目立つ
今は口内保育中の個体が目立つ
環境や棲み分け、社会行動などから見分けるしかないかも。。。と一抹の不安を抱えながら、ポイント内のアオスジテンジクダイを見て回った。

ホームグラウンド・一湊タンク下にはアオスジテンジクダイが常時コミュニティを作っている場所は、全部で5ヶ所あるのだが、この透明度の悪さで1ヵ所(ゼロ戦)は諦め、さらにもう1ヶ所はなぜか1匹も見当たらなかったので、結局3ヶ所を見て回った。
どこのコミュニティでも今はみんな繁殖期に入っていて、オスは口の中に卵をくわえている個体が多く見られた。

結論から言うと、基本的にアオスジテンジクダイしか(つまり1種類しか)いないような気がするんだけど。。。(・・;)

尾柄部の黒い帯が薄っすらしている子もいたのだけど、暗がりに入ったりすると黒い帯はクッキリ状態に。(笑)
ちなみにこの子は他の個体から追い立てられたりしていたのが、ちょっと気になる。。。

こ、こいつか???と思ったら。。。
こ、こいつか???と思ったら。。。

尾柄部の黒帯はクッキリに。。。(^^;;
尾柄部の黒帯はクッキリに。。。(^^;;

ただ、1ヵ所のコミュニティだけ明らかに黒い帯がハッキリした帯になっていない子がいた。
その子を明らかなアオスジテンジクダイと並べて撮ってみると、やや体全体の色合いもくすんだ暗い色合いだったりするのだけど、これの事。。。???

アオスジテンジクダイの2型?
アオスジテンジクダイの2型?

アオスジテンジクダイの2型?
アオスジテンジクダイの2型?

群れ全体、社会行動をしばらく観察してみたけど、そこからは種類の違いはまったく感じられなかった。
完全に他の個体と共存していて、追い立てられたり、仲間外れになっていたりという事は一切なかった。(・・;)

う~ん。。。もう少し見ないと分からないなぁ。。。
明日もちょっと観察を続けてみたいと思う。
ゼロ戦も行かないとなぁ。。。透明度が回復してくれないかなぁ。。。

ちょっとショックな事もあった。
一番浅いアオスジテンジクダイのコミュニティがある場所には、僕が屋久島に来るずっとずっと前から直径2m以上の大きなテーブル状のミドリイシサンゴがあって、それはこのポイントのメインエリアのシンボル的な要素も持っていたのだが、それが岩から剥がれ、水底に思い切り落ちていた。。。(・・;)
落ちても幸いなことに表を向いているので、まだまだしばらくは生き続けるとは思うけど、これ。。。どうしたものか。。。
放置したままだとやっぱり、そのうちに死ぬのかな。。。
うーん、、、(◎_◎;)


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久しぶりのOW講習

【ポイント】 吉田港/香附子
【水温】 23.0℃/23.2℃
【透明度】 15m
【海況】 やや時化気味
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 11:00-12:50/15:07-16:20
【潮まわり】 06:06 225cm 満潮 / 12:49 -13cm 干潮 / 19:20 228cm 満潮 / 大潮(月齢:13.9)
【日の出・日の入】 日出05:22 日没19:06

天気は快晴なれど、やや北寄りの風が強い。
今日は久しぶりのOW講習だった。
講習なんていつぶりだろう。。。(^^;)

島なのでプール講習(限定水域講習)から海でやるのだが、プールみたいに静かな港で行った。
しかし、ちょうど大潮と重なってガンガン潮が引いていく。。。(・_・;
最初は3mぐらいあった港内も最後には1mくらいになってしまった!
もっとウェイトをつけてやれば良かった。。。(笑)

産卵中のメスとオス
産卵中のメスとオス
午後の遅い時間からカメラを持って再度、香附子へ。
前回はかなりの大産卵で様々な繁殖関連行動(喧嘩、交接、産卵etc…)が見れてかなり満足した1本だったのだが、もう少し迫力のある喧嘩シーンを撮りたいと思い、残タンクで再チャレンジだ。
産卵場のミドリイシサンゴ群落まで直行したが、1匹も姿が見られない。。。(・_・;
例によってしばらく待てばやってくるはず。。。と自信を持って待っていたが今日は20分経っても1匹も姿を現さないので、諦めようか。。。と思った途端に急に12匹のコブシメが一気に登場!
おいおいおいおい。。。こいつらどこにいたの???

前回はいったんダイバの接近で一斉に逃げて、しばらくすると寄ってくる。。。とか言っていたが、どうもそうではないっぽい。。。
警戒心が強くてスグに逃げるくせに、ダイバーの吐くアワや気配で集まってくるような気がしてならない。
そのクセ、近づくと逃げようとするのがよく分からないのだけど。。。(・・;)

産卵するペアは3-4組くらいなのだが、前回に比べて頻繁にメスはサンゴに卵を産みに来ない。。。
おかしいな。。。数は前回と変わらないのに。。。と思っていたのだが、理由が分かった。

産卵待ちのメスと守るオス
産卵待ちのメスと守るオス
前回と今回で明らかに違うのが、前回がメスの傍らにいるのは精子提供者であるオスだったのに、今日は前回よりもオス同士の争いが激しく、精子提供者のオスは他のオスを追いかけたり、威嚇したりするのに忙しく、メスから離れてしまう事が多かった。
で、傍らにいるのは次回の精子提供者の座を狙う他のオスたちなのだった。
なので、産卵中のメスに襲い掛かるシーンもよく目撃されたし、かなりサンゴ周辺は落ち着きがない感じ。。。
これではメスはおちおち産卵なんかしていられないどころか、サンゴに近づくのも怖いだろう。。。

こんな危険な環境ではメスはなかなか産卵が進まないのか、1時間あたりの産卵回数も前回よりも極端に少なかった。
それと途中で襲われそうになって逃げるからか、サンゴの周辺にはちゃんとサンゴの中に産みつけられずに産み落とされた卵がよく落ちていた。

そんな状況なので目的の「喧嘩」も頻繁に見られたけど、前回ほど寄れず全然撮れなかった。。。(ーー;)

元気に生育するミドリイシサンゴの仲間
元気に生育するミドリイシサンゴの仲間
ところでここのミドリイシサンゴの群落は屋久島ではかなり規模が大きい方で、しかも超元気で活き活きとしている。
北部の界隈ではあまり見られない大きさのミドリイシサンゴの群生だ。
しかも、ビーチから5分程度で泳いで行け、水深も浅いのがいい。

あ~!このサンゴの産卵を狙ってみようかな。。。
それまでに真っ暗な中でも確実に帰ってこられるようにせねば。(笑)


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