崩壊したウスサザナミサンゴ群体のその後。

【ポイント】 一湊タンク下No.1
【水温】 22.3℃
【透明度】 20m
風が真冬と同じ北西に変わったが、もうあまり寒くはならなくなった。
暦の上ではもうとっくに春なのだが、こうなってようやく春を感じた。


水温が一気に22-23℃に上がった。
浮遊物が増えているので、黒潮が寄っているのだろう。
昨年のGWにうちが使っている漁船がアンカーを引きずってしまい、一湊タンク下のウスサザナミサンゴ群落の一部を破壊してしまったのだが(→崩壊したウスサザナミサンゴ群落)、研究者のアドバイスを参考にいったんガレを片付けて綺麗にし、大型の群体のみ水中ボンドと針金を併用して固定した。(→ようやく再生作業に着手サンゴの固定作業
その後、時化の度に傷を負って弱くなった群体の一部が数ヶ所転げ落ちたりして、2次的な被害の広がりが見られたが、概ね経過は順調だ。
人為的に固定した群体はすべて元気に成長していて、さらに綺麗に掃除した場所にも新たな命が生まれたり、既存のサンゴが覆い隠すように急激な成長を見せ、まだ1年も経っていないのに、崩壊して掃除した場所が分かりにくくなるくらい復活を遂げつつある。
そのスピードも想像以上に速くてビックリする。
suicyuukonn.jpg大きな群体は水中ボンドと粘土で固定したのだが(左写真)、この部分には新たにピンク色の石灰藻やカイメンなどが付着し、普通の岩肌と見分けがつかない。
元々、コンクリートなどにはサンゴが着きやすい。
水中ボンドも同じような役割を果たしているように感じる。

makikomi.jpgkantuu.jpgしかし、ほんと、ウスサザナミサンゴはたくましい。
上に乗っかったものは何でも同化しようと、包み込もうとするようで、固定するために上からかけた針金をも飲み込み、すでに包み込んでいた。(右写真)
ちょっとしたサンゴの亀裂などに針金がかかるようにかけたのだが、1年をかけてそれも飲み込まれ、今では写真のようにサンゴを思い切り貫通しているような状態になってしまった。。。(゜o゜;;
凄い!凄過ぎる。。。(左写真)
hakkasiteru.jpg結局、固定したのは10群体ぐらいで、細かいガレはまとめて処分したのだが(研究者によると放置すると藻が繁殖して新たなサンゴの参入ができなくなるからとの事)、いくつか自然状態で固定できそうなものや処分するには忍びない中型の群体、そしてその後に親群体から崩れ落ちたものなどはそのまま人工的に固定することなく、放置したのだが、これはやっぱり白化して死滅してしまったものが多い。
つまり、固定は正解だったのだ。
研究者の方からグラグラした状態ではサンゴはストレスを感じ、いつまでも固着できず死滅すると言われていたのだが、その通りだった。
固定した10群体はみんな元気なことを考えると、すべてそうするべきだったのかもしれない。
ちなみに水中ボンドの有毒性を指摘する研究者の方がいたのだが、全体をプラスマイナスで考えると、それは特に問題なかったような気がする。

また、サンゴは次々に同化させていく性質があり、近縁関係にある群体だったら上に乗っかったサンゴ破片は、そのまま放置すれば自然に同化することは聞いていたのだが、さすがにこの大きなウスサザナミサンゴ群落の端にある群体から数十m離れた群体とでは同化しないだろうと思われたが、試しに置いておいたサンゴ破片は今では完全同化してしまった。
どうもここにあるウスサザナミサンゴはかなり広い範囲ですべて同じ遺伝子を持つ近縁関係にあるようだ。
今回は環境の悪化に強いと思われるウスサザナミサンゴだからなのかもしれないが、いずれにしても、人間が思うほどサンゴは弱くなかった。
むしろ、たくましく生きていることに驚かされた。
多分もう2年もすると、元に戻るどころか、崩壊以前よりも勢力が広がっていそうな気さえする。
今後もモニタリングしていくつもり。。。
帰りにアオリイカの成体8匹が群れているのを見かけた。
50cmぐらいの連中なのだが、一湊タンク下ではここまで大きな個体を見るのは稀だ。
近づいてもあまり遠くに逃げることもなく、近くで産卵しているのではないかと思われた。
どこでやってるんだろう。。。?


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