クロヘリイトヒキベラの黄色い斑紋の謎

【ポイント】 一湊タンク下No.1
【水温】 23.7℃
【透明度】 15m
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 15:36-17:28
【潮まわり】 09:09 102cm 干潮 / 14:38 150cm 満潮 / 若潮(月齢:9.7)
【日の出・日の入】 日出05:45 日没18:48

今日もシモフリタナバタウオの幼魚を探しに行った。
しかし、今日もまったく姿を現さなかった。。。うーん。。。いなくなったのかなぁ。。。(・・;

今日も周囲でずっと「出待ち」していた。
この辺は一湊タンク下でもかなり魚影が濃い場所で、クロヘリイトヒキベラがわんさかと群れている。
ここ最近は求愛やオス同士の追いかけっこなんかも頻繁に見られ、繁殖期に入っていることはよく分かる。
今日の「出待ち」中はずっとこの群れを観察していた。

クロヘリイトヒキベラの群れを見ていると胸ビレの後ろの辺りが黄色い子(以下”黄色い子”)と黄色くない子(以下、”黄色くない子”)がいる。
この違いは何なんだろう。。。

”黄色い子”
”黄色い子”

”黄色くない子”
”黄色くない子”

かなり前から疑問には思っていたのだが、放置したまま今日まできてしまった。。。(笑)
というか、単なる個体差(バリエーション)だという事で、片づけていた。(^^;;
しかし、若い個体に関しては、よくこの黄色い斑紋は濃くなったり、薄くなったりするため、「個体差」というだけではちょっと納得がいかないのも確かだ。

どういう状態の個体が黄色くなり、どういう状態の個体が黄色くないのか。。。?
産卵や群れ全体を観察していると雌雄の違いや種類の違いではない事は分かるのだが、どうしてもこの2タイプが現れる理由が分からない。。。
通常クロヘリイトヒキベラは大きな群がりを作り、屋久島ではこの2タイプがほぼ半々で混在してガンガン泳ぎまくっているため、なかなか個体識別や1個体を追い続ける事が難しく、1匹を追っていてもそのうちに訳が分からなくなってしまう。。。(笑)

とりあえず、大きな個体(オス?)だけを見ていると”黄色い子”の方がやや一回り小さい場合が多い。
当然、立派な大きさの”黄色い子”もいるし、小さな”黄色くない子”もいるのだが、大きめのオスだけを見ていくとそんな感じ。。。

そこで仮説を立ててみた。
”黄色い子”は一次オス(生まれながらのオス)、”黄色くない子”は二次オス(メスで生まれて性転換したオス)。
実際、ベラ類の多くは雌性成熟型といって、メスからオスに性転換するものが多い。

これを念頭に入れて見ていくと、ちょっと納得できてくる。。。

もちろん、生まれた時はみんな同じ体色(胸ビレの後ろは当然、黄色くない)だ。
そして成長するにしたがって、一次オスは胸ビレの後ろの黄色い斑紋がクッキリしてくる。
メスや雌雄を問わず若い個体の中で胸ビレの後ろが黄色っぽい子もいるけど、見ているとその色は薄っすらしており、肉眼では見えなくなっちゃう事もあるので、多分、メスや若い個体の「胸ビレの後ろの黄色」は状況や環境に応じて浮き出たり、消えたりする種類のもの。

元々、何となく黄色い
元々、何となく黄色い
これは魚の体色ではよくある事で、多分クロヘリイトヒキベラはこの胸ビレの後ろは基本的にどの個体でも黄色くなる可能性は持っているのではないだろうか?
それに対して、胸ビレの後ろの黄色がハッキリしてくれば、それはもうオス(一次オス)のトレードマークだ。

つまり、「オスの胸ビレの後ろの黄色」と「メスや若魚の胸ビレの後ろの黄色」は別に考えなければならない。
両者を一緒に考えちゃうから訳が分からなくなるのかもしれない。。。
もともと「黄色か?」「黄色じゃないか?」という二者択一ではないのだろう。。。
実際、中間的なものもいるし、薄っすらグラデーションのようになっているものもいるし。(^^;;

黄色い
黄色い
黄色くない
黄色くない

やや黄色い
やや黄色い

立派なオスだってこの黄色い斑紋の大きさや濃さは様々なのだ。

黄色い部分は小さな点のようになってる
黄色い部分は小さな点のようになってる
黄色い部分はぼやけている
黄色い部分はぼやけている

黄色い部分の面積が狭い
黄色い部分の面積が狭い

そして二次オス(メスで生まれて性転換したオス)はこの黄色い部分がハッキリ出ることなく大人になる(オスになる)のではないだろうか。。。
どんなベラでも大きく老成するのは二次オスが多い。
クロヘリイトヒキベラでも15cm近い大物はたいてい胸ビレの後ろに黄色い斑紋はない。

それとこのクロヘリイトヒキベラは大きく成長すればするほど、尾びれの真ん中が着きだしてきて槍状になるのだが、大型の”黄色くない子”はたいてい、この槍状だ。

ただ、胸ビレの後ろに黄色い斑紋のない大型のオスは、ひとつの群れにウジャウジャいるのが気にかかる。。。
他のベラ類だと、二次オスというのは1つの群れ(社会)の中に普通は1匹程度なのだ。(^^;;

それと、こんな個体も結構いるのだけど、これはなんだろう。。。?(・・;)
これも引っかかる点なのだが、15cm近い大物で見た目は黄色くないのだけど、よ~く見ると小さな黄色い斑紋があったりする子もいるのだ。

良く見れば黄色い部分アリ
良く見れば黄色い部分アリ

良く見れば黄色い部分アリ
良く見れば黄色い部分アリ

右側面と左側面で黄色い部分の面積や濃さに違いがある場合もある。
下の2枚の写真は同一個体で、右側面は黄色くないのに、左側面にはやや濃い黄色い部分が。。。

右側面は黄色くない
右側面は黄色くない

左側面にはやや黄色い部分が
左側面にはやや黄色い部分が

うーん。。。考えれば考えるほど、頭が痛くなってくる。。。
でも楽しい!!!!(^^)


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