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似た種類同士の識別

【ポイント】 一湊タンク下No.2
【水温】 20.0℃
【透明度】 25m~
【海況】 凪ぎ
【天候】 晴れ
【潜水時間帯】 11:18-12:46
【潮まわり】 04:27 175cm 満潮 / 10:07 97cm 干潮 / 15:56 193cm 満潮 / 若潮(月齢:10.1)
【日の出・日の入】 日出07:06 日没17:18

また長い時化が続き3日ぶりの海だ。
ようやくホームグラウンドの一湊が凪ぎた。
冬の西高東低の気圧配置は、台風接近時よりも海なし日が続く。。。台風以上に冬の季節風は嫌らしい。。。(・・;)

久々の一湊タンク下は思いのほか透明度がよくてビックリした。
浅いエントリー口周辺ですでに透明度は20mは超えていて、沖に出ると30m以上あったのではないかと思えるほど。
ただ白濁りはすごい。。。

別の場所にもいた「赤ヘビ」
別の場所にもいた「赤ヘビ」
先日、通称「赤ヘビ」(ヘビギンポ属の一種=未記載種=新種)を認識したという話をしたばかりだが、今日はまた別の場所でこの赤ヘビを見つけた。
その場所は以前にも赤ヘビを見つけて写真を撮っている場所で、当時は赤ヘビだとは思わず、「こいつは何者??」などと悩んでいたのだが、今回はスグに赤ヘビだと分かった。

どんな魚でもそうなのだけど、似た種類同士の識別というものは、他人から、どこどこに黒斑がある・ないとか、どこどこの部位が分岐する・しないとか、そういう色彩や形態面での違いを聞いても、まったく分からず、悩み続けていたものが、何かの機会に一度認識できるようになると、その後は容易に識別できるようになるものだ。
一度、識別できるようになると、もはやまったく違う魚にしか見えず、何故に悩んでいたのか分からなくなるくらいなのだ。
やっぱり、種類が違えば、見た目もまったく違う事の方が圧倒的に多く、あれこれと細かい識別点を観察しなくても、本来は見た目だけで判断できるはずなのだ。

それをよく「顔が違う」という言い方をするんだけど、それは顔の形のことではなくて(笑)、存在感や質感、見た目の印象なんかの事だ。
そういうものは現場で繰り返し繰り返し観察するしか方法はなくて、机の上であれこれ悩んでいても絶対に分からない事なのだ。

今日もちょっと前まではネッタイミノカサゴとの違いで悩んでいたミズヒキミノカサゴ(→ネッタイミノカサゴ?ミズヒキミノカサゴ?)を見てそう思った。(笑)

あれほどその違いに悩んでいたのに、不思議な事に今となってはまったく別の種類にしか見えない。。。(^^;;

要は細かい識別点を知ったり、覚えたり、探したりしても、あまり意味はなく、見た目の印象の違いを「知る」のではなく「感じられる」くらいまで観察を重ねるしかないと思うのだ。
その都度、細かい識別点をチェックして見分けているようだと、それはまだ識別できたとは言えないのかもしれない。。。
多分、それだとフィールドが変わったり、時間が変わったりすると、もう分からなくなるという可能性もあるし(実戦では使えない)、下手するとそれだと間違える可能性も高い気がする。
自然の中では客観的で一見ロジカルな細かい識別点よりも、見た目の印象といった下手すると非科学的で主観的な捉え方の方が正しい場合が多いのでは?と感じる。。。

ネッタイミノカサゴ
ネッタイミノカサゴ

ミズヒキミノカサゴ
ミズヒキミノカサゴ


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ネッタイミノカサゴ?ミズヒキミノカサゴ?

【ポイント】 一湊タンク下No.2
【水温】 23.3℃
【透明度】 20m
【海況】 凪ぎ
【天候】 雨
【潜水時間帯】 14:26-16:18
【潮まわり】 10:27 65cm 干潮 / 16:47 171cm 満潮 / 若潮(月齢:24.9)
【日の出・日の入】 日出05:17 日没19:12

昨日まで私用で鹿児島に出ていたので、3日間潜れなかった。。。
屋久島に帰ってくると今度は台風2号の接近で大雨~!(-o-;

しかし風はまだかなり緩く、一湊湾内は昨晩からの大雨でドロドロ状態とはいえ、ベタベタに凪ていた。
一湊川から流れ込んだ泥水はまだ一湊タンク下には入り込んでおらず、水中は思いのほか透明度は悪くなかった。
つまり、いつもの台風前の静かな状態。。。

今日は大雨で海に行く足も正直重かったが、調べたいことがあったので午後から思い切ってエントリー。
調べたいことというのは最近、新標準和名が提唱された「ミズヒキミノカサゴ」の屋久島での生息状況だ。
近似の「ネッタイミノカサゴ」との棲み分けも気になる。

ダイバーの間ではとてもメジャーな魚にネッタイミノカサゴという魚がいる。
これとよく似た種類の魚がもう一種いて、どうも日本ではこの2種を混同していたらしい。。。当然一方には和名がないため、新標準和名「ミズヒキミノカサゴ」が提唱されたそうな。。。
(参考:ミズヒキミノカサゴ(新称) | RELAX…?

この2種にはいくつかの形態上の違いがあるのだが、どれも個体差や変異の範囲内なのでは?と思ってしまう微妙な違いなのだ。
その中で最も識別しやすいポイントが以下の点だ。

ミズヒキミノカサゴの胸鰭の膜の部分に6–24 個の斑点があり、糸状に伸びる部分に赤色から褐色の縞模様
ネッタイミノカサゴの胸鰭の膜の部分に3–17 個の斑点があり、糸状に伸びる部分は一様に赤色または白色

ただ両者を写真で比べてみると、その違いが微妙すぎて、かつそれ以外の部分にまったく違いを感じないため「本当?」ってのが正直な感想。。。(笑)
これから僕がやりたいのは、ネッタイミノカサゴとミズヒキミノカサゴ(新称)が実際の水中で本当に繁殖隔離しているのか調べる事。 2種が日常的に交雑していたら、また話は違ってくるような気がする。。。(笑)

というわけで、まずは両方の胸鰭のパターンを実際に見てみる事にした。

ミズヒキミノカサゴ?
ミズヒキミノカサゴ?
ネッタイミノカサゴはいつも-15mの場所に溜まっているので、まずはそこに行ったのだが、どういうわけか今日は1匹もいない。。。(・・;)
仕方なく-25m付近まで降りると、最初に出会ったのがまさに胸鰭の糸状に伸びる部分が紅白の縞模様になっている子だった。
しかも、クッキリ!
上記識別点から同定すると、確実にミズヒキミノカサゴで間違いないだろう。。。

魚は成長過程で模様や色が変わるものが多いので、サイズもしっかりメモっていく。。。
この子は15cmくらいの小さな若魚だった。
単体で佇んでいて、周りには他の個体やネッタイミノカサゴも見られなかった。

ネッタイミノカサゴ?
1匹目・ネッタイミノカサゴ?
ネッタイミノカサゴ?
2匹目・ネッタイミノカサゴ?
そのまま-30m付近まで降りてみた。
この付近にはいつもネッタイミノカサゴが数匹溜まっているのだが、今日もしっかり3匹ほど佇んでいた。

1匹は非常に大きな個体で25cm以上はありそうな子。
この子の胸鰭の糸状に伸びる部分は一様に薄い赤色。。。
もう1匹は20cmくらいの中型で胸鰭の糸状に伸びる部分は一様に白かった。

ネッタイミノカサゴだと思うのだけど。。。(・・;)
3匹目・ネッタイミノカサゴだと思うのだけど。。。(・・;)
これらは間違いなくネッタイミノカサゴだと思うのだが、1匹だけオーバーハングした部分に逆さになっている子がいたのだが、この子の胸鰭の糸状に伸びる部分は紅白の縞模様!
お腹が大きな20cmくらいのメスで遠目でこの3匹を見ると、すべて同種にしか見えない。。。(・・;)
というか、絶対に3匹とも同種だと思うのだけど。。。(笑)

2匹目と3匹目を並べてみる
2匹目と3匹目を並べてみる
105mmマクロでしかも濁りのある海だったので、ちょっと辛かったけど(笑)、さらに2匹目と3匹目を並べて撮ってみた。
心なしか、奥にいる2匹目の胸鰭の糸状に伸びる部分にも薄ら紅白の縞模様が浮き出ているようにも見える。(^^;)
また、写真の露出の問題でオーバー気味に撮れば白くなり、アンダー気味に撮れば縞模様が浮き出てくる。。。というパターンだと思う。
つまり、この識別点は写真同定では使えないという事も示唆しているような気がする。。。(笑)

ネッタイミノカサゴだと思うのだけど。。。
ネッタイミノカサゴだと思うのだけど。。。
最後に-25m付近でもう1匹20cmくらいの子を見つけた。
単体だ。
相変わらず、遠目ではネッタイミノカサゴにしか見えないのだが、胸鰭の糸状に伸びる部分は紅白の縞模様だ。
でもなぁ。。。正直、さっきの3個体と同種にしか見えない。。。(^^;)

う~ん。。。結局、よく分からなかった。。。(笑)
仮に絶対に2種が生息している事は確実だとしたら、少なくとも胸鰭の糸状に伸びる部分の紅白縞模様は識別には使えない気がする。
また、ネッタイミノカサゴの胸鰭の縞模様は状況や成長過程(だから大きさのデータは大切!)で濃くなったり、薄くなったりしている可能性もある。
これは背びれの棘の数なども見ていかないと厳しいかも。。。


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